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bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

三つ数えて

 

そいつより速く走れ

決して捕まるなよ

今よりずっと先にある

素敵なものを掴みたい

ここはもう飽きたよ

スパゲッチの神様

三つ数えて吹き飛ばせ

三つ数えて吹き飛ばせ

 

 

一月末の現状

 

愛や希望より先に行く

向こう側に落ちる

追いかけ追い抜いて

向こう側に落ちる

欲しいもの見失って

東京タワー建てた

期待のしどころもなく

ゴジラにへし折られた

息を吸って吐いて

夜明けを待っていた

息を吸って吐いて

夜が明けなきゃいいと言ってみた

明日には意味があるか

明日には意味ができるか

意味は生えてくるのか

意味は湧いてくるのか

先回りして穴を掘った

明日落ちるために

深い穴を掘った

上手く落ちるために

言い訳をさせてほしい

聞いてうなずいてほしい

愛や勇気に似たものは

似ているだけだったね

希望に似たやつは空気を吹き込んで

膨らませてお楽しむ

もっと上手くやりたい

簡単そうにやりたい

取り返しのつかないことって

そんなにいっぱいあるのかな

どうしてこの辺りは

高い壁ばかりなのかな

どうして君は飛べるんだい

どうして僕は這いずっているんだろう

考えない

考えないことを考える

破裂しそう

破裂しない

破裂できない

やりかたわからない

愛と希望とそれからなんだっけ

言葉にはたましいがあるって

でもからっぽだ

どんなかたちにでもなれるって

みんな言っているね

夢見るって何

眠るしかできない

どこに売っているの

通貨 レート 警告

どこに立っているの

遠回りでも平気だけど

ただわからないんだ

 

 

旅の男からの手紙

 

もうちょっとで腐りかけた週末

俯いて爪の伸びる音を聞いている

黒いシャツで旅に出たらしいね

左耳から忍び込んで海馬を撫でるような

くすぐるような 逆らえないような

悪い男がいたもんだ へっへっへい

遠いところから風が伝えてくる

木の葉のような手紙を

後生大事にしまいこんでいるのさ

いつかのためにね

知らない路地に倒れこんで

くちの中は鉄錆の味しかしなくて

後悔はない

そんな男がいたもんだ ほっほっほう

背を丸め靴下を繕いながら旅の空を夢見る

見たことないものを見たことないまんま

おっ死んじまってもいいってのかい

荷物なんてないよ

惜しいものなんてないよ

何も起こらないことが毎日起こっていて

人が死んで人が生まれて死んで生まれて

おいらは生きているのかな死んではいないようだ

月がまた痩せてきた

世界が青白く染まった少なくとも半分が

叫ぶことなんてない

吼え方を忘れてしまった飼いならしてはいないが

どこまで行けるだろう

忘れてもいいところまで

思い出さなくてもかまわないところまで

 

 

 

 

 

 

 

氷の国へ

 

きみの指す方向に氷の国はあって

ぼくらはそこに向かう

北極星が導く

あと必要なものは時間だけ

それだけが旅を支配する

サーチライト・スポットライト

射貫かれぬように

声や足音を掴まれぬように

赤い西瓜を懐かしんで

いつかまた遭えることを夢見る

ぼくらの先に氷の国はあって

それはとても確実で

辿り着くまで生きてさえいればいい

生きているあいだはずっと

死んではいけない

ほんの一瞬たりとも死んではいけない

いくつもの氷の国を過ぎて

迷わず次に向かうこと

北極星が導く

生きているあいだはずっと

決して死んではいけない

 

 

 

 

飛行隊のうた

 

ぼくら飛行する 出来得る限りの低空で

ぼくら飛行する 宇宙ぎりぎりの低空で

オパールの中の星屑を 蹴散らしそして撒き散らし

すれ違っても気づかないで お願い声はかけないで

勇気は脆く継ぎ接ぎだらけ それを勇気と呼ぶならば

痛みを伝えようとするのはやめた もうわかったから

それじゃない何かを伝えられたら伝えよう

見つけたらの話だ なにもかも仮定だ

見つけたら見つけたら 分け合おうそうしよう

見つけたらの話だ なにもかも希望だ

 

 

 

 

6月の無題

 

思い出せませんごめんなさい

貝殻みたいに閉じて眠りたいです

その時が来たらわかるでしょうか

最後の一人に残されませんように

まだ歩きなれてない靴でこんなにも歩いてしまった

道が合ってるかどうかなんて考えもしないで

むかし何かがあった空き地で途方に暮れていました

もういいんじゃないかなって

そんな気がしてふと見渡してみると

ここちよい広さと雑草の茂り具合まるで

わたしのために残されていたようなのです

ポケットに煙草は最後の一本で燐寸も最後の一本で

もちろん点けて吸いました

耳鳴りが晴れたような気持でした

ああ耳鳴りがしていたのでしたね忘れていました

もういいんじゃないかなって

自分で言ってみました自分の内側にね

煙草の煙のようにくるくると渦巻いて

子供時代が遠ざかるのを知りました

戻れないことが漸く理解できました

あれらはドライアイスで出来ていたので

放れながらそのまま気化してしまうのです

歩く必要がなくなったようです

ここがどこなのか知る必要がなくなったようです

ここで間違ってなかったみたいです

地べたに座ると草花に埋もれて小鳥の声が聞こえます

きょうも夜は来るのでしょういつもいつもそうだったように

まだ覚えている色々な欠片はそのまま化石になりますか

なくしかたがわからなくてね 必要なものは既にないのに

煙草の箱をポケットに潰して忘れたことを忘れてしまって

閉じかたを思い出します貝殻の閉じかた石の閉じかた

閉じてしまえば大丈夫なはずですたとえ今日が日曜日でも

遠く子供たちの声がします 

あれは私ではありませんあの中に私はいません

そう思うとちょっと笑える気がします

もういいんじゃないかな

 

 

 

 

ちっちゃなこと

 

傷ついたふりして傷つけるの得意

得意過ぎてそれはわたしになった

ぐるぐると内側に潜って行こう

たしかに昔はあったはず

二度と再現できないちっちゃなかがやき

なくしたことにも気づかなかった

わすれたことにも気づかなかった

探しに行こう採りに行こう

三つ頭のある犬と三つ頭のある猫を

選ぶとしたらどうしよう

選ばれるのだとしたらさてどうしよう

門は閉まっているのだろうか

かんぬき架かっているのだろうか

昨日もちっちゃな嘘ついて

ちっちゃな自分を消しました

明日もちっちゃな嘘ついて

ちっちゃな自分を憎むでしょう

ゆるされたいのです

誰に

誰かに

日々の嘘が泡のように立ち昇るここで

ちっちゃな牙が痕をつける もう忘れないように