あの子と黒猫
あの子はただ 終わりを待ってる
その日二本目のタバコ
火傷するくらい根元まで吸って
これで最後にしようと自分に言う
そしてため息をひとつ
あの子はただ 知っててほしかった
自分がばかじゃないって
ほかの子みたいには振舞えないけれど
それはあの子があの子だってこと
何一つ忘れないよ
あの子はいま ラジオをつけてる
耳を押し付けノイズを味わう
知らない国の知らない言葉による
知らない音楽を見つけるソナーが
あるいは嵐のしらせ
あの子はもう 準備ができてる
荷物はトランクにひとつ
それから名前のない真っ黒な猫
これで最後にしようと自分に言う
そしてまたため息をひとつ