bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

旅の男からの手紙

 

もうちょっとで腐りかけた週末

俯いて爪の伸びる音を聞いている

黒いシャツで旅に出たらしいね

左耳から忍び込んで海馬を撫でるような

くすぐるような 逆らえないような

悪い男がいたもんだ へっへっへい

遠いところから風が伝えてくる

木の葉のような手紙を

後生大事にしまいこんでいるのさ

いつかのためにね

知らない路地に倒れこんで

くちの中は鉄錆の味しかしなくて

後悔はない

そんな男がいたもんだ ほっほっほう

背を丸め靴下を繕いながら旅の空を夢見る

見たことないものを見たことないまんま

おっ死んじまってもいいってのかい

荷物なんてないよ

惜しいものなんてないよ

何も起こらないことが毎日起こっていて

人が死んで人が生まれて死んで生まれて

おいらは生きているのかな死んではいないようだ

月がまた痩せてきた

世界が青白く染まった少なくとも半分が

叫ぶことなんてない

吼え方を忘れてしまった飼いならしてはいないが

どこまで行けるだろう

忘れてもいいところまで

思い出さなくてもかまわないところまで