静かな夜に
こんな静かな夜に こんな純粋な真夜中に
猫の寝息が乱れるのが怖くて 音楽をやめてください
いつものコーヒーはいつもの味がして
氷で一気に冷やすのがこつです
本のページは止まったまんま 何を待っているのですか
言葉にするとかたちになってしまうから
ぐるりを廻って触れないように なるたけその目を見つめぬように
静かすぎるのは重くないかしら 真綿のように雪雲のように
誰も受け取らぬまま輪の中をぐるぐる廻される問いが
見えない音楽と共に手から手へと
いや誰もいない
くるくる弄んでいるだけなのですね
開くことのできない問いが ほどくことをためらう指が
誰かのせいだと思いたくてね 猫を恨んでどうなるものか
おかあさんちょっと出かけようかしら それとも背中をさすろうかしら
言い残したことはあるかしら わたしにはあるわ