六月の感傷
誰かが外で何か言ってる 聞こえるけどわからない言葉で
繋がってない幾つかの石を ネックレスにしようとしているところ
炭酸の泡心地よい ちょっともう冷たくはないけれど
寝静まっていない無数のうごめき もうすぐ明るくなる六月の空
いまがいちばんいいですね いまがいちばんいいです
とても可愛いけれどもうすぐ死んでしまう猫 とても可愛いよ
会えなくなるけどずっと好きだよ ずっとだよ
煙草も酒もへらないな こんなじゃいけないなでも
いまがいちばんいいですね いまがいちばんいいです
ずっと生きてきた もう短くはないしまだ長いってほどじゃない
いつかは知らないけどその時は来て そして必ず去る
みんなみんな行ってしまうね もれなく行ってしまうね
怖がってたけどちょっとわかった 怖いけど怖くない
いまがいちばんいいですね あしたはもっといいです
世界の果て。あるいは沼。
もうどれくらいこうしているのか
もう焦ってはいない最初はパニックだったけれど
アイスクリーム食べたいタバコ吸いたい
いやもういい
星がまるで降るようだ
虫の声がうるさすぎて逆に静かなんだ
浸みて冷えて凍えて口笛を吹く
カエルを破裂させたこと犬に追われて泣いたこと
誰かみたいになりたかったこと金が欲しかったこと
あれもこれもすべてを欲しがったこと
サンキューみんな消えてしまう
愛したこと憎んだこと忘れようとしたこと
冷たい指甘いくちづけ裏切りと再会そして銃弾
サンキューみんな消えてしまう
世界の果てはなかったすくなくともここ以外には
ここを果てとする俺が決める俺が世界だ
サンキューみんな消えてしまえ
