bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

 沈黙の叫び / マーシャ・マラー 

沈黙の叫び (講談社文庫)
父の死をきっかけに、自分が養女である事を知ったシャロン。母を初め、関係者は多くを語らない。自分は本当は誰なのか。ベテラン私立探偵が自分探しの旅に出る、シャロン・マコーン・シリーズ第21弾。
えー、このシリーズを読むのは随分久しぶりです。巻末のリストによると9年ぶりくらいになるのかぁ。そりゃあディテール覚えてないわ(笑)。正直、読み始めはスー・グラフトンのキンジー・ミルホーン・シリーズと混乱してしまったほどです。
主人公の個人的なルーツ探しの物語なので、センセーショナルな殺人事件などは(ほとんど)出てきません。比較的静かに始まり徐々に盛り上がっていきます。ひとつの謎が解けたように見えてもすぐ次の謎が立ちはだかるもどかしい旅です。最後の最後に明かされる事実は、さすがベテランというカンジでした。
女性探偵ものの先駆者的シリーズですが、前出のキンジーやV・I・ウォーショースキーに比べて、肩の力が抜けているように感じます。そんな時代はもうくぐりぬけてしまったということでしょうか。旧作の記憶が抜けてしまっているので何とも言えないのですが。
これまた巻末のリストを見て気付いたのですが、10作以上もの未訳があるのですね。しかも翻訳されているものも翻訳者がばらばらですよ。冷遇されてるなあ。人気ないのかしらん。その理由の一つが4F(3F+読者もF)物には珍しいプロっぽさクールさじゃないかと睨む私です。もしかすると男性のほうが、このシリーズを公平に評価できるんじゃないだろうか。