bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

 さよならの接吻 / ジェフ・アボット

さよならの接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 モースリー博士の事件メモ)
舞台は平和な街ポートレオ。父親のコネで判事の職について半年、ホイットはアンチョコ片手に気楽に仕事をこなしていた。ところが上院議員の不肖の息子ピーターが死んでいるのが発見され状況は一転。AV男優として(一部で)知られていたピーターは状況から自殺とされるが、昔行方不明になった弟についてのドキュメンタリーを作る意欲に駆られていたこともあって疑問が残る。折りしも街では若い女性の行方不明事件も発生しており・・・・・・・。
図書館長ジョーダン・ポティート・シリーズで知られる作者の新シリーズ第一弾。
えー、図書館長シリーズの新作だと思って買いました。だって表紙デザインが似てたんだもーん。そしたら奥さん!今度はサイコスリラーですってよ。うっきゃー。前シリーズもコージーかと思いきや、意外とウエットな味わいで戸惑わせてくれたアボットですから、この位は手持ちの駒で書けたのかもしれません。アタシ自身はサイコスリラーに食傷気味なのでアレでしたけどね。
前半は、のほほんとしていたホイットですが、段々追い詰められてきます。判事の座をめぐる選挙は迫るし、被害者の前妻と寝てるし、邪魔する人間は出てくるし。正直、どんどんページをめくるスピードが上がってきます。コージーだと思って読み始めた私は、終盤は右へ左へけっこう振り回されました。コージーの味を持っているのは主人公ホイットとその家族だけですよー。他はしっかりサイコサスペンスです。謎解きもあります。事件はエグイし人間関係はどろどろです。騙されちゃいけません(え、アタシだけ?)。でもね、この新シリーズを「アボットならでは」にしているのは、このお気楽主人公なのですね。アタシは次作も読みますよー。ホイットには5人も兄さんがいるらしいし、何度も結婚を繰り返す父親(ホイットの母親は家出しました)もいるし、この辺が次作以降に活かされるらしいのです。うん、次も読みますとも。こんどはそれなりの心構えもして、ね。