bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  フランチェスコの暗号 / I・コードウェル & D・トマスン  

フランチェスコの暗号〈上〉 (新潮文庫)

フランチェスコの暗号〈上〉 (新潮文庫)

フランチェスコの暗号〈下〉 (新潮文庫)

フランチェスコの暗号〈下〉 (新潮文庫)

ルネサンス時代の奇書「ヒュプネロトマキア・ポリフィリ」の謎に取り組み、志半ばで事故死した父を持つトム。研究に魅せられ報われなかった父と同じ轍を踏むまいとする彼だが、入学したプリンストンで、その父を心の師と仰ぐポールに出会う。二人は徐々にこの奇書に隠された暗号を解き明かし謎の深遠に迫るが・・・・・・・。
ダ・ヴィンチ・コードに絡めた売り方をされているようですが、こちらは思いっきり青春小説です。名門大学での生活やそこで育まれる友情、恋、師弟の愛憎などに関する物語です。あと、父と息子の関係かな。殺人事件も起こりますがそこにはさほどの謎も無いです。古文書に隠された暗号を解いていく過程は、(虚実混ざっているそうですが)なかなか凝っていて面白いです。でもワタクシの場合パズル的要素にはあまり興味が無いのでさらりと読んでしまいました(笑)。でもでも充分楽しめました。ずばりこの小説の良さは謎解き以外の部分に在ると思いますよ。たよりない主人公ポールをはじめとして、それぞれに生まれ育ちの違う若者達の心の動きを見守っていると、自分の青春時代なんぞを思い出してしまってちょっとじーんとしたりします。売り方間違ってますよ。そっち側を期待した読者には肩すかしかもしれません。そうなってしまったらとても残念。青春物として楽しんでいただきたい作品です。

ところで、この作品にも父と息子の関係&擬似父子的関係が出てくるのですが、近頃の流行でしょうか。永遠のテーマですかそうですか。