わが手に雨を / グレッグ・ルッカ
- 作者: グレッグルッカ,Greg Rucka,佐々田雅子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/09
- メディア: 単行本
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昼に入手して夜には読了。ひさしぶりのイッキ読みでした。主人公があまりにもオコチャマでイライラさせられるのですがそれでも一気。愛情を知らずに里親を転々とし音楽に一条の光を見出した少女(26歳ですけど)。才能があり脚光を浴び始めながらも自身のアル中問題や人間関係にもがきながら、目を逸らしていた過去を見つめなおす事によって成長していく物語、ですか。こうして書いてみると陳腐ですね。それでも見限らず応援したくなるだけの魅力を持った主人公でした。ワタクシさきほど「愛情をしらず」なんて書きましたけれど、実際は彼女、最後の里親夫婦には大変感謝しつつ愛情を感じていますし、世間的にはヤクの売人として蔑まれる兄ともよい関係を保っています。死んだ母親にも殺した父親にも複雑な愛情を持っています。あかん子ですけど悪い子じゃないんですね。整理整頓できず全てを遮断する事も出来ずもやもやした過去を抱いたまま生きている。その辺りの描き方が上手いです。あかん子のあかん子ぶりをちゃんと描けていて読ませるのです。中ほどで主人公と刑事にこんな会話をさせています。
「あたしにはみじめになる理由があるじゃない」
「そうね。だけど、自分でもそれが好きだからじゃないの」
本人がそれを自覚できたらそこからが始まり。いろんなことの。