bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  ブラック・リスト / サラ・パレツキー  

得意客グレアムからの奇妙な依頼で、彼の老母が以前住んでいた邸宅を見張ることになったヴィク。なんでも人手に渡った後、空き家になっているはずなのに不法侵入者がいるらしいのだ。折りしも街は逃亡中のテロリストの事でもちきり。ヴィクが張り込んでいるとなぜか少女の姿が。そして敷地内の古池には黒人ジャーナリストの死体が。
911以降の米国では愛国者法なるものが発令され、国家の安全を守ると言う面目で個人のプライバシーは蹂躙される。かつての赤狩りの時代を思わせるこの状態に不安を抱いている人も多い。テロリストを匿っているのではと疑われたヴィクも盗聴を恐れ公衆電話を使ったりする始末。どうなのこれ。本作は一般人とは感覚の違う上流階級の人々が住まう地域を主な舞台にしている。代々続く特権階級意識を背景として様々な偏見や差別が渦巻いている。主人公が探っていくうちに歴史に埋もれたスキャンダルが浮かび上がってくるのはいつものことだが、この作品においては事件に纏わる人々の中でも女性の活躍が前面に押し出されているところが「らしい」かな。
それにしてもこの作品、内容もさることながらニ段組450ページ超というボリュームも読み応えがありました。ヴィク頑張りすぎではないですか。大丈夫ですか。