bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  背信 / ロバート・B・パーカー  

読了。
マーリーンという女性の依頼で彼女の夫トレントンの浮気調査を引き受けるスペンサー。程無く、浮気相手にも依頼人本人にも尾行が付いていることに気付く。何故?そうこうする内にトレントンが殺された。調査対象の勤めるキナージィ社は、電力を中心としたエネルギーの売買で急成長している会社だったが、どうやらソコの警備部長がひそかに私立探偵を雇って見張らせているらしい。不審に思いつつ調査を進めるが当の警備部長までも自殺に見せかけて殺されてしまった。やがてスペンサーは、自由な結婚生活を提唱するラジオパーソナリティー、オゥマーラが関与している事に気付く・・・・・・。
シリーズ31作目。
意外と推理小説っぽい。このシリーズについては、「敵」が解っていて、それをどう排除するかで一冊をもたせている場合が多いので、まずそこにびっくり(悪いファン)。スペンサーの苦手分野、経理を担当する「世界一の公認会計士」マーティが良い。つか、そういう専門キャラが登場するところが良いと感じた。暴力担当は一杯いるのよね。個性的な面々でそれぞれ面白いけれど、結局のところ作者の願望の分身達なのだろうと思う。そこにマーティのような存在が入ってくるとぐっと面白くなるように思う。
パーカーがそちら方面に明るければ、マーティを中心とした別の切り口のシリーズが出来るのになあ*1。まあ今のところ「女性探偵」と「警察署長」で手一杯か。「女性」と「組織の中」というスペンサー物から取りこぼした部分を描いているけれど、結局どちらも根底に流れているのは同じパーカー節で、そのへんが限界なのかなあ。
あ、話が逸れてしまいました。面白かったですよ。久々に読み応えがありました。シリーズ読みとしては、みんな(自分も含め)年取ってるんだなあとか思いますけど。

*1:Xファイルの「ローン・ガンメン」みたくね。