bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  バタフライ・エフェクト / エリック・ブレス&J・マッキー・グラバー  

少年時代のエヴァンは時々記憶が飛んでしまうブラックアウトを起こしていたが、医師の勧めで毎日日記をつけ始める。ある事件がきっかけで転居することになり、時は流れ、いつの間にかブラックアウトを起こすこともなくなり普通の大学生活をおくるエヴァン。ふと手にした昔の日記を読むうちに、忘れていた出来事が心に蘇る。引越しの時、幼馴染のケイリーに「君に逢いに戻ってくる」と約束したのに、結局それっきりになってしまった。彼女のことが気になり会いに行くエヴァン。ブラックアウトのせいで曖昧になっている出来事について彼女に問いただすが、「言いたくない。忘れたい」と逃げるように去って行き、その日のうちに自殺してしまった。全ての原因は失われた過去にある。初恋の人の人生を救うためには過去を変えればいい。しかしそれは、神にさえ許されない行為だった。
以下、うっかりするとネタバレを含みます。
反転させると読めます。

タイトルの「バタフライ・エフェクト」とは、初期条件の僅かな差異が、将来の結果にに大きな違いをもたらす事を表現したカオス理論。風が吹いたら桶屋が儲かる(それか?)。
日記を媒体として過去に戻る力を持ったエヴァンが、少年時代の事件に修正を加える度に、将来(現在)が大きく変わってしまう。しかしそれは全ての関係者を幸せにすることは出来ず、思わぬ綻びを含んだ将来(現在)なのだった。エヴァンは何度も何度も過去に戻って修正を重ねていく。そして最終的にエヴァンが選んだ道、その痛みを伴う選択とその結果としてやってくる将来(しつこいようだが現在)に、私は暫く動けなかった。「映画史上最も切ないハッピーエンド」なるほど。
予告ではもっとファンタジー色の強いラブストーリーかと思っていたのですが、前半の少年時代を中心にショッキングなシーンが多くて、先の読めない展開と共に、手に汗握る一級品のサスペンスとなっていました。幸せを求める度に痛々しい結果が待っていて、その分、ラストシーンのせつなさ清清しさが引き立っていたかもしれないです。
あと、少年時代のブラックアウトの理由(?)が現在と繋がっていたって解釈でいいのかしら。そうかしら。あの段階(過去)では解らなかった将来の自分が乗り移って(?)いたから、と。
匂いとしては、三月に見た「エターナルサンシャイン」に似ていなくも無い。「記憶」をキーワードにしていたり、複雑な構成になっていたり。あれもすごく面白かった。でもテーマの大きさ重さで、こっちのほうがお勧めかな。特に男性には。それにしても今年は当たり年かも。画期的な映画が続きますね。
人生にはいくつものターニングポイントがあって、しかもその時には気付かず通り過ぎていってしまう。私だってそう。あの時ああしていれば・・・あの時ああ言っていれば・・・・ああすれば良かったこうすれば良かった、でももう取り戻せない。ビデオテープを巻き戻すように過ぎ去った日々は取り戻せない。過去に戻れたらどうする?別の選択肢を選ぶ?でもその結果としての現在は誰かの犠牲あってのものかもしれない。もちろん過去に戻って軌道修正なんて出来ないわけで、だからこそ毎日もがいているわけで、ねえ。 逆にいま手にしている小さな幸せは、過去のちょっとした偶然の結果だったりするの。あの日あの時あの場所でキミに逢えなかったら・・・・てね*1

*1:さて、この中にジャスラ○クに突っ込まれそうな引用が二つあるんですがお気づきですか?