bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

 秘められた伝言 / ロバート・ゴダード 


あまぞんさんの検索が、いつも込み合っていて「出来ません。後でまたやってみてね」て言われます。なんとかならないものか。そんなこんなで挫折が続いていたのですが、とりあえずメモ。


日本を舞台にした海外作家の作品というのは、勘違いのエキゾチシズムに満ちていて、こそばゆいような気分にしてくれたりする事が往々にしてあります。でもこれは成功していると思いました。物語り全体から見ると、めまぐるしく移動する中でのほんの一部に過ぎないので、それでアラが出るまでもなかったって事かもしれないんですが。ほんと、この小説のなかで、主人公(と追っ手)は世界中を飛び回ります。地球は狭くなったなあ。
さて、歴史上の事実とフィクションを織り交ぜて描く作家として有名なゴダードですが、今回も様々な事件を取り上げています。英国人や米国人ならば、きっと私の数倍楽しめたのかもしれません。私としてはちょっとリアリティを感じにくい事件だったかな。最後の一番大きな事件以外はピンと来なかったし、その大きな事件についてもさほど入れ込んではいないからです。それでも面白いんですが、よく知っていればもっと面白かっただろうと思います。日本人の興味深い登場人物が何人か出てきて、重要な存在として印象を残します。ゴダードさん、日本が好きなのでしょうね。彼の本がよく売れている国だそうですしね。
主人公ランスの友人ループが行方不明になったことが、事件の発端なのですが、このループ君がまず謎めいている。幼馴染なのに知らなかった面が次々に現れてきます。彼の足取りを追ううちにランスは、深い歴史の謎に、そしてループの秘密の過去に囚われていくのです。いつもながらの駄目人間な主人公、謎めいたパートナー、追えば追うほど深まるミステリー、そして真の敵。おや、こうして書き出すと新味がないですね。面白さを伝えたいのにおかしいなあ。私がキャラクター読みである事も関係していますね。サブキャラが活き活きしていると楽しめるのです。そういう意味もあって、今回は大満足でした。