bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  ココ・シャネル / クリスチャン・デュゲイ  


1954年パリ。15年の沈黙を破ったシャネルの復帰コレクションは酷評で迎えられた。ビジネスパートナーはメゾンの売却を薦めるが、シャネルは頑として首を縦に振らない。彼女は孤児だった自分が成功するまでの日々を回想する。それは愛と信念に支えられた人生、そして自立する女性の歴史でもあったのだ。「私は流行をつくっているのではない。スタイルをつくっているの」彼女ガブリエル”ココ”シャネルは、新コレクションでの復活を誓うのであった。


公式サイト→ http://coco-chanel-movie.jp/index.html


勝手なことばかり言っているので畳みます。







有名人を映画化するのはすごく難しいことだ。観客一人ひとりが自分なりのイメージを持っているし、近代の人物ともなれば写真や映像が残っていたりもする。私も復帰後のシャネルといえば、小さな皺くちゃのキッツイお婆さんをイメージしてしまうので、シャーリー・マクレーンはゴツ過ぎるんじゃないかと心配だった。見た感想はやはりマクレーンはマクレーンなのだなあという感じ。面白いのは若いころのシャネルを演じるバルボラ・ボブローヴァがマクレーンに似ていて、若き日のシャネルとマクレーンのシャネル、二つのシャネル像が上手く繋がったこと。そしてボーイ・カペル役が素敵だったこと。カペルの写真はまるで犯罪者のような悪人顔のおっさんポートレートしか見たことが無かったので。この映画の彼はとても魅力的。疎外感や野心情熱といった、シャネルが惹かれたであろう何かを感じさせてくれる。
ストーリーは若いころの回想が多く、宣伝されているほどマクレーンのシーンが無かったかな。近々公開のオドレイ・トゥトゥ版と比べてみたい。この時代を生きて自立した女性の一代記というわけで、メロドラマ的になってしまうのも仕方が無いことなのか。ただファッション史的にはシャネルのライバルにヴィオネが出てこなかったのがやや不満。ポール・ポアレを当て馬にすることによって男性対女性・古い価値観対新しい価値観の構図に落とし込もうとしたのだろうか。直接対決的にはヴィオネはもっと後の人だったかな。後は…ごく初期のジャージー服がどの程度本物に近いのかが知りたい。最近流行のナチュラルスタイルに酷似していた。


沈黙の15年間を映画で観てみたいのだけれど、やはりタブーなのかな。