bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

 イングロリアス・バスターズ / クエンティン・タランティーノ 


公式サイト→ http://www.i-basterds.com/


ネタバレ無しに書けないのです。
畳みますよ








ちょー後味悪い映画だったのです。だって後味の良い戦争なんてありえないじゃんかよー。そんな感想ダメですかね。でもそんな感想なんだな。
ブラピさんは主人公じゃないですよね?主役ってあのランダ大佐じゃないんですか?ショシャナの復讐はちょっと感情移入しかけたけど、あんな形で終わるし、そもそもこの映画、登場人物が次々に出てくるんだけど、簡単に死んじゃうんですよ。それぞれの人生とか特性とか因縁とか、ぐるぐる巻き込みながらも結局はなるようになるの。戦時においては人間なんて使い捨てってこと?まあ平時だって似たようなもんだけどな。最後のほうでランダ大佐が言うように、んな阿呆なと思える偶然の連続で歴史は廻ってるわけです。ものすご笑ったんですけど、最後にゴメンナサイしたくなるほどしんどい映画でした。誰が一番ひどいこと出来るか競争してる映画です。たくさん敵を殺したら英雄としてもてはやされます。たくさんユダヤ人を虐殺したら重要人物として連合国に認めてもらえます。やればやるほど上達します。レッツ酷いこと!それが戦争。そんなまとめ方したら優等生ぶってるって言われるのかしら。タランティーノの映画愛がわからんとはツマラン奴だといわれるのかしら。でもダメだったな。暴力もグロ表現も免疫あると自負していたんですが、もしヤバくなっても目を逸らせば平気だと思ってたんですが、えー、音が。肉を切り裂く音が臨場感溢れるドルビーサウンドで襲い掛かるのです。うぎゃああああああ!ものすご疲れた。でね、しかも史実を無視したエンタテイメント映画なんです。すべてタラちゃんのイマジネーションが作り上げたファンタジーなの。派手で残酷で可笑しくて皮肉な夢なの。あの戦争があんなふうには終わらなかった事を、誰だって知ってるじゃないですかー。映画の最後で自らウソだよ〜んて言ってるような映画なんですよ。ああ褒めているのか貶しているのか…。
面白く無い映画ではないです。元ネタの知識がない私でも凄く楽しめた。ディテールが書き込まれていてものすごく充実している。語りたいシーンが山盛りになっている。でも途中から楽しんでる自分が疑わしくなってくる。あら私ったら自分で思ってるよりお上品だったのかしらおほほ。とにかく凄い映画なんだろうとは思うけれども、私はしんどかったし、誰にでも薦められる映画ではないなあ。これをUPしたら他の人たちがどんな感想を書いているのか見て来ようと思います。今まで肯定的なレビューしか読んでないんですよ。違う意見も聞きたいです。


追記
ある人が「コレを戦争論と混同するのはダメな見方。エンタテイメントとして楽しまなくちゃ!」と書いてらして苦笑。そうだよねー。ダメな観客なんだよすまねえなあ!!誰に謝ってるんだ。戦争の皮肉にでも絡めないと、この暴虐を飲み込む事さえ出来ないオイラなのさ。