bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  イノセンス / 押井守  

イノセンス スタンダード版 [DVD]

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ので、お約束にはそえません。んが、それを映像で補うのが映画だと思うんスよね。
説明的過ぎて不自然な長台詞や、特別編集のプロローグなどを使うべきでないと思うんスよ。両作ともそこが最初の関門でした。ノレないんです。そういうのなしでできると思うんですよ。むしろそれが映画じゃないかな。
電脳世界の時代でなく、銃弾飛び交う戦いの毎日ではないこのモニターのまえに座って考えたのですが、そっちとこっちじゃ大違いでしょうね。バトーと少佐の世界においては、愛よりも背中を守ってくれる信頼のほうが重要なんじゃないかな。それともイコール?違いなどないのか。 多分、その時代には殆どの人がそんなことは考えないのだろう。愛玩用の理想的なアンドロイド、飼いやすいクローンの動物。そして再構築される記憶。目の前にあるものを信用するしか生きる道はないのだろう。私には想像できる。楽なほう易い方へ流されていく私たちの姿が。
キムの館のシーンは出口のない悪夢の構造にも似て気持ち悪くて(いい意味で)やられました。電脳世界ってもの自体現世に対する夢みたいな存在なのですけれど。いや、それをそれを問うのがこの作品ですか。
そんなこんなを気にしつつ観たこの物語は、気味が悪いほどロマンチック。その自分の命を任せられる生身の信頼ってのが、正直不足してませんかこの日常。俺だけっすか?必要にならないのが一番いいんですけどねほんとは。
この2作の間にTVシリーズを数本観たのだけれど別物なので飛ばしました(その名もスタンドアローン)。
この作品は様々な哲学や文学そして聖書などからの引用が多く、知識があればもっと楽しめたのだろうと思うと大変残念です。しかたがないけどねそれが自分なんだし。電脳化してないってことはどこまでも自分の範疇でしか理解できないのだった。
「今の自分が幸福かどうか」
そういえば私は、同じ押井監督の作品『スカイクロラ』を過去に観ていたのだった。
スカイ・クロラ [DVD]

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当時の感想→http://d.hatena.ne.jp/kiko04bpss/20080806/p1
言葉で語ることにとらわれないこと。余白を使って観客の想像にまかせること。おや、監督、成長しましたね(ヲイ。