bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  変わり行く風景  


昨日、母から電話があった。家の改装に伴い、大量にある(私が送り込んだ)文庫本を処分してもよいかどうかを問うものだった。風呂場とトイレを改装するのだそうだ。年に何度か訪れる彼女の孫たち(私の甥と姪)がぽっとんトイレを怖がるのだという。。そうだろうな。現代っ子だもんな。廊下の適当な場所に置かれた本棚。入りきれなくて積み上げられた本たち。邪魔になってしまうのだそうだ。
「処分してもいいよ」「ごめんね」「ううん。全部読んだんでしょ?」「読んだよ。職場の人にも貸してあげたよ」「本も職務を全うしたと思う。読んでくれてありがとう」
五月の法事には新しい風呂場と水洗トイレが待っているはず。実家は着実に私の家ではなくなってきている。私はお客さんなのだ。家の周りだってそう。見渡す限りの田んぼだったのに、気がつけば人気の住宅地になっている。もう故郷とは別の町なのだ。今では70代になった両親がいずれ居なくなれば、私はもう帰る場所がなくなるのだろう。すべては変わっていく。分かっているつもりだけど、それでもさびしい。