bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  影に潜む / ロバート・B・パーカー  

影に潜む (ハヤカワ・ノヴェルズ)
パラダイスの街で連続射殺事件が発生。犠牲者には何のつながりも見られず、無作為に選ばれているらしい。やがて容疑者として一組の夫婦が浮かび上がるが確たる証拠は出てこない。ただジェッシィの警察官としての勘だけが真犯人だと告げているのだった・・・・。小さな町の警察署長ジェッシィ・ストーン・シリーズ第四作。
メインの事件捜査と平行して一件の集団レイプ事件の捜査が進められています。卑劣で利己的な犯罪(殆どの犯罪は卑劣で利己的なものですが)とその裁きについて語られている作品です。罪と罰、そのバランスと言うかアンバランスについて。主人公は警察署長ですから法の番人なわけですが、その”法”が邪魔になることもある。加害者も法に護られているのです。逆に被害者側の置かれた立場の弱いことといったら・・・・。同著者の別シリーズでは、法に縛られない私立探偵が主人公ですから別のアプローチがあるのでしょうが、ジェッシィは違う。「人間はやれることしかやれないんだ」そう、彼は彼に出来る事をする。
全体的にはさらりと読める小説です。長さもあまりないし、引っ掛かりや盛り上がりも少ない。前妻との関係や他の女性との関係、飲酒に纏わる試練、マスコミや地域社会からの圧力など主人公の抱える問題は山積みなのですが、比較的醒めた目で読んでいました。なるようにしかならないものを見守るような気持ちでしょうか。このシリーズについてはこのトーンが合っているように思います。