bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  磔刑の木馬 / J・ロバート・ジェインズ  

磔刑の木馬 (文春文庫)

磔刑の木馬 (文春文庫)

読了。
ナチ占領下のパリ。全裸で発見された女性の死体には何故かローマ時代の金貨がばら撒かれていた。公園の回転木馬には男が磔にされ死んでいた。そして射殺されたドイツ軍の伍長。これらは関係が有るのだろうか。捜査に当たるのはフランス人のサンシール警部とゲシュタポ捜査官のコーラーという異色コンビ。市民もお上も敵なのか味方なのか解らない混乱の街に張り巡らされた陰謀の糸を二人はもがきながら手繰り寄せていく・・・・。
前作「虜囚の都ー巴里1942」の時もそうだったのだが、この作家ちょっと読みにくい。場面がしょっちゅう説明もなく飛ぶのだ。ぼんやり読んでいると置いていかれそうになる。しかし物語自体は面白い。登場人物も個性的(特にシャンタル&ミューリエル!)だし、街並みや天候の描写までもが、このドイツ占領下のフランスという特殊な舞台を、悲惨で恐ろしいけれども目を逸らせられないものにしている。