bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

 ギャングスター / ロレンゾ・カルカテラ  

ギャングスター〈上〉 (新潮文庫) ギャングスター〈下〉 (新潮文庫)
息子殺しの罪を背負い、逃げるようにアメリカへと渡って来た父。その密航船の中でアンジェロは生まれた。新天地アメリカでの暮らしは過酷で、いつしかアンジェロは、父を愛していながらも負け犬として軽蔑するようになっていく。彼は権力と金を求め、犯罪と暴力の世界でのし上がっていくのだった。
時は移り、裏社会での権力者となったアンジェロに拾われたのが少年ゲイブ。身寄りの無い彼にアンジェロは、自身が受けたギャングの英才教育を授け、後を継がせようとするのだが・・・・・・・・。
そして現在、年老い死の床に就くアンジェロの傍には、大人になったゲイブが付き添っている。そこへ昔馴染みだという謎の老婦人が現れた。彼女と向かい合い、ゲイブはアンジェロの一代記を語り始めるのだった。


友人も肉親さえも愛さず、よほどの事が無ければ信用も出来ない、厳しい世界を渡って来た男たち。死と暴力に彩られたその生きざま。三代にわたる父と息子の物語が形を変えながら語られている。それぞれの求めた、そして手に入れた生き方の違いが胸に痛い。物語の最後に語られる事実が、決して表には晒される事の無かった真実の絆をゲイブと読者に見せてくれる。そのせいか、流される血の量に比べて、読後感は驚くほど爽やかだった。


この作品は、加藤さんの掲示板で勧められていたので読んでみたのでした。先日の飲み会の際は、ちょうど中ほどを読んでいて、「なんだかダイジェスト版を読んでるみたい」とか「スカスカで、映画のノベライズみたい」とかエラソーな事を言ってしまいました。ゴメンナサイ。通しで読んでみると大変面白かったし、また、前述のように感じた理由もわかりました。つまり、アレです。これはゲイブが語り手になっているのだけれど、前半は彼が誰か(主としてアンジェロとパッジ)に聞いた話なのですよね。そして後半は実際に見た経験した事実が描かれていると。それに加えて、物語りも佳境に入って盛り上がってくるわけだから、濃度が変化してきて当然なわけです。だからこそ面白い。
ワタシったらフライング。ちょっと反省してます(赤面)。それと、面白い本を紹介してくださってアリガトウ。また宜しく。