カタパルト / カレン・キエフスキー
- 作者: カレンキエフスキー,Karen Kijewski,柿沼瑛子
- 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション
- 発売日: 1997/03/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
この粗筋紹介だとコメディみたいですね。そんなことないんですシリアスなんですゴメンナサイ。性的虐待、遺産問題、家族のドロドロが詰まった結構ヘビーな話なんですよ。
キャット自身、家庭環境には恵まれてなくて、アル中の母は(望んで産んだ子じゃないという理由で)キャットに自分の苗字すら付けてくれず、そんな母の世話も小さな妹の世話もキャットがやっていたのでした。その母もキャットが高校卒業式から帰ってくると、階段から落ちて首の骨折って死んじゃってました。それから彼女はアルマの手で育てられたのです。だからアルマは”祖母”だし、アルマの姪の息子ジョニーは従兄弟同然なのですね。そんな彼女ですが「不幸なアタシ」オーラがないところが彼女の彼女たる所以です。今回も女の子達相手にクールに対処していくのですカコイイ。
このシリーズについてある人は「サラ・パレツキーの焼き直し」と言っていました。うん、ちょっとそんな匂いもします。初期の元気なヴィクを思わせないでもないです。ドロドロしたものを引きづりながらもプロに徹して仕事を進めていく姿や、お節介な隣人や親友など、ディテールも共通しているかな。でもワタクシはキャットの方が親近感を持てる気がします。何だろう、スーパーウーマンを目指していないところかな。肩に力が入りすぎてない感じがいいのかな。そうはいってもまだ三作目、80年代の話のようでウーマンリブも終わり景気も悪くなく女性が比較的楽な時代だったのかもしれません。今後どうなっていくのか楽しみでもあり心配でもあるシリーズです。