bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  25時 / デイヴィッド・ベニオフ

25時 (新潮文庫)

25時 (新潮文庫)

読了。
麻薬所持の罪で明日収監されるモンティ。刑期は7年。ハンサムで若い白人男性を刑務所で待ち受ける運命は恐怖に満ちている。残された貴重な一日をどう過ごすのか。恋人、飼い犬、二人の親友、そして父親。それぞれの溢れる思いが抑制の効いた筆致で描き出される。
主人公は収監を明日に控えたモンティなわけですが、彼は出来る限りクールに振舞うのを信条にしているらしく感情を抑えて行動しています。過去の回想シーンが多く、「シアワセだった頃」「上手く行ってた頃」を心に呼び戻しているのが痛々しいほどです。明日とか来週とか来月とかは彼にとって存在しないのですね。逆に回りの人間の方が、自責の念に囚われていたりしてあたふたしています。そして、親友が明日収監される=もう人生オシマイ的な状況に陥っていても自分の人生は続く、と、焦り悩み、それがまた自責の念に繋がったりとか。自分は何故モンティを止める事ができなかったのか。親友なら、恋人なら、親なら、何か出来たのではないだろうか、と。
最後にモンティが親友に頼む事、最後に父親がモンティに提案する事、辛いです。
あとがきにこの作品が発売された頃の情報として、訳者の田口氏が「トビー・マグワイヤ主演で映画化の話が進んでいる」と書いているのですが、その後この作品はご存知の通り、スパイク・リー監督/エドワード・ノートン主演で公開されました。エドワード・ノートンは兎も角、何故にスパイク・リー?と思ってしまった私は近々DVD借りてきて(買わないのか)観てみようと思っています。