bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  ダニー・ザ・ドッグ / ルイ・レテリエ  


五歳の頃に悪徳高利貸しのバートに拾われたダニー。幼少時の記憶は無い。母の記憶も無い。人間性さえも奪われ、事務所の地下で犬のように飼われている。バートやその手下達と取り立てに廻り、相手が返済を渋るとダニーの出番だ。首輪を外されたら戦闘モードにスイッチが入る。犬は犬でもダニーは闘犬だから。感情の無い殺人マシーンだから。
そんな或る日、取立てに行った骨董品倉庫で彼が出会ったのは、古いピアノと盲目の調律師サムだった。敵の多いバートが何者かに襲撃されたのを機に、ダニーはサムとその養女ヴィクトリアの家に厄介になる。多くを語らない(語れない)ダニーと無理強いしないサム、そして屈託の無いヴィクトリアの三人はピアノを介して何か触れ合うものを感じる。徐々に人間性を取り戻していくダニー。しかし運命は優しくなかった。ダニーの母親の死を巡る衝撃の事実がついに明かされる。取り戻した母の記憶、人間としての生き方、そして愛する人々を守るために、ダニーは最後の戦いに追い込まれていく・・・・・・。

結局、観て来ましたー。 リンチェイくんて、確か40過ぎてるのですが、えー、東洋人は若く見えるねー。て、そんなレベルで無しに年齢不詳。彼は決してワタクシのタイプではないのですが、正直興味が無い役者なのですが、この役には説得力がありました。浮世離れしてるのね人間として生活してなかったし五歳から中身は成長してないと。サムと出会ってから新たに生まれた、と。ふむ。そゆ感じ。
モーガン・フリーマンは相変わらず静かな老賢者の役がハマってますね。安心してみてられます。ヴィクトリアを演じた子は知らなかったのだけれど、才能と愛に溢れた18歳(でも辛い過去もあるんだよって)ていう眩しさがありました。


「母の死を巡る衝撃の事実」は、さほど衝撃じゃないです。それしか無いでしょうって。ただダニーの母とバートとの関係がはっきり解らなかった。拒否されカッとなって殺した?それともずっと関係があった?ダニーの父親の説明が無かった事(何か見落としましたか私?)と、ラストの「さあ俺を殺せ!」的発言が、気になってます。でも実の息子をこんな風に育てるのは変だよね。もしそうならかなり歪んだ愛憎関係。考えすぎかなそうかな。最近「家族」とか「擬似家族」とかに囚われすぎかな自分。でも「血は繋がってないけど愛の在る家族」なサム&ヴィクトリアという関係に、何か意味があるように思えてならないのです。勿論、ダニーをもう一人の擬似家族として迎え入れられるという下地としてだけの意味かもしれないのだけれど。「血は繋がっているのに一方的な愛着と憎しみで壊れている家族」としてのダニー&バートて、見事な対比になってないデスカー。まあ手下は居ても実は孤独なバートにとっては、たとえ「犬」でもダニーだけが家族だったような気がするワタクシですが。そのバートを演じているボブ・ホスキンスには、あまり悪役のイメージを持っていなかったので、逆にワケアリっぽくて良かったのかな。


さて、ストーリー的には「んなアホな〜」の連続です。お伽噺ですね。脚本書いたベッソンの夢ですね。一見メデタシメデタシだけど、彼らは米国に行くんでしょ?ダニーのパスポートは?つか、山盛り人が死んでるんですけど、多くはダニーがやっちゃってるんですけど、まさかお咎め無しなワケないしー。まあお伽噺なんでイイんですけど。うん。すんばらしいアクションシーンとか、娯楽としての殺し合いとか、バートがあまりにも不死身なこととか(最低三回は死んでる)、きっと誰も気にしてないんでしょうしー。あんまし追求しない事にします。楽しかったもんね。うん。さらっと終わった(マジさらっと。まあアレ以上やったらクサいからね)ラストの素敵コンサートシーンとかで、すべてチャラ。うん。お伽噺だから。


格闘アクションとヒューマンドラマを両方一遍に観たいひとにオススメです。