bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  忙しい蜜月旅行 / ドロシイ・セイヤーズ 

忙しい蜜月旅行 (ハヤカワ文庫 HM (305-1))

忙しい蜜月旅行 (ハヤカワ文庫 HM (305-1))

 
ピーター卿と推理小説家のハリエットはついに結婚にこぎつけた。 記者や小うるさい親族を煙に巻き、不意打ちのような結婚式を挙げ新婚旅行に出たものの、滞在先の屋敷には鍵がかかり屋敷の主人は行方不明。やがて主人が死体で見つかり、楽しいはずのハネムーンは一転、またもや犯人探しの毎日へと変わってしまう。


独身生活を謳歌していたピーター卿が、ハリエットと恋に落ちて随分経ちます。その間ピーター卿は再三アプローチしていましたが、ハリエットは首を縦に振りませんでした。身分違いもありますし、一時は殺人容疑者でもあった(まさにその事件で二人は出会い、ピーター卿が彼女の無実を証明したのでした)悪評の持ち主、しかも女性でありながら血なまぐさい推理小説を書いているなんて、貴族の嫁には如何なものか。その上ハリエットは自立した女性でした。勝手気ままに生きているという意味でなく、人間として一人前の能力があり他人の気持ちを思いやる事の出来る新しい時代の女性だったのです。そんな彼女が前作『学寮祭の夜』で結婚を決めます。そして、結婚式とハネムーンの顛末が描かれている今作なのですが、彼らの行く所、どこにでも事件が待ち受けているのですねえ。まったくもー。
例によって本筋からズレたところばかりに目が行くワタクシです。本書では二人のお互いを思う気持ちに打たれます。相手に「してもらう」事ばかり考えている自分、「してあげた」とエバっている自分がちょっとハズカシイ。愛とか結婚とかって、どちらかが相手の犠牲になることではないのです。
そして今回はバンターの存在がクローズアップされています。如何にしてピーター卿の従僕となったかも知ることが出来ます。どれほど必要な人間かがわかります。それにね、今回ついにバンターがキレますよ。あの沈着冷静人間業とは思えないほど完璧な従僕バンターが声を荒げますのよ奥さん!んまあ。
さて、肝心の事件ですが・・・・・トリックは、ああナルホドねー、位のものでした。いつも言ってますがワタクシ、読んでる時に推理ちゅうもんをしていません。せいぜい「○○が××だったりしてねー」レベルの事しか考えてません。この作品に関しては、なんつーか、「え?これで良いの?」て思いましたよ。「名探偵コナン」みたいでしたよ。ちゃんと観た事ないけど。たぶんそんなかんじー。