bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  メランコリー・ベイビー / ロバート・B・パーカー  

「実の親を探して」と大学生のサラから依頼された私立探偵サニー・ランドル。彼女の両親は実の親であると言い張るが、それを証明するDNA鑑定を拒否し、出生証明書も提出できず、それどころか「過去の事は全て忘れた」と不可解な事を言う始末。過去に秘密があると睨んだサニーが調査を始めると、やはり父親が経歴を偽っている事が明らかになってきた。しかしそんな中、サラが男二人に暴行され、調査を中止するよう脅されるのだった。


男性作家の描く女性主人公については、大抵ガッカリさせられるものでして、特に現代マッチョ探偵作家代表格のパーカーに過大な期待は禁物と思いつつ読みました。が、今回は意外なほど良かったです。シリーズ第4作なのですが、今まで気になっていたサニーの様々な「弱さ」の部分について説明がなされたカンジですよ。
冒頭でサニーは、別れた夫リッチーが再婚する事を知りショックを受けます。元々ふたりは愛し合っているけれども、一緒には暮らせないと判断して別れるという、ちょっと他人には理解しがたい関係なのです。そんなこんなで悩むサニーが紹介されたのは精神科医のスーザン(!)でした。スーザンとの会話の中で、あるいはその診察の影響で、徐々にサニーは自分の中のもやもやした部分を解き明かしていきます。答えを出すのは医者ではなく患者本人なのです。そしてその答えが読者に対する答えにもなっている、と。
今回は、スーザンをはじめトニー・マーカスやベルソン部長刑事など、スペンサー・シリーズでお馴染みの面々がゲスト出演しているのも面白かったですね。 えー、事件そのものは、その、なんというか、良くある話で正直どうでもいい感じでしたけれど。