シャーロック・ホームズの息子 / ブライアン・フリーマントル
- 作者: ブライアンフリーマントル,Brian Freemantle,日暮雅通
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/09
- メディア: 文庫
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アメリカへ向かったセバスチャンは、鉄鋼王や銀行家、オーストリアのプリンセス、ロシアの皇子等と接触。在米ドイツ総連を調べていた下院議員と新聞記者が謎の死を遂げていたことから、ドイツ大使館の面々やドイツへの密輸集団を追う事にした矢先、ドイツ大使館のレセプションで、近々謎の積荷が英国経由でドイツに向かう事を掴む。しかし、駐米ドイツ大使ベルンシュトフをはじめドイツ関係者がセバスチャンに目をつけ始めていた。
「フリーマントルがホームズ・パスティーシュを書いた」っていうわけで、探偵小説というよりはスパイ小説なのです。セバスチャンは実の父ホームズから探偵調査のノウハウを教えられているのですが、今回はチャーチルの命を受けた潜入捜査なのですよ。「当方は一切関知しない」方式で、まったくチャーチルの狡猾な政治家っぷりが見事です。作者はチャーチルさん嫌いなのかね。
ただねえ、この作品単品だととても中途半端。事件はまだ始まったばかりのところで終わってます。登場人物が沢山顔出ししていますが、重要に見えた人物も途中でドロップアウト。これは物語を賑やかにするためではなく次回作への伏線ですか。また、ここに至る前振りが必要でしょう普通。作中あちこちで一応説明されてはいるのですが、セバスチャンの生い立ちや、シャーロックが実の父であると名乗りを上げるシーン、セバスチャンが事実を受け入れ、探偵術を学ぶシーンなどは一つの作品になるはずなんだけれど。それを書かないのは何故。ありがちなものになると判断したのかしら。微妙な父子の確執も残っているし、シャーロックもまだ耄碌してはいない。シリーズ化が決定し次回作が既に書かれているそうなので、徐々に織り込んで描いていく予定なのでしょう。
うーん、困った。面白くないわけではないのですが。シリーズ続けて読んでいけばもっと面白くなるかもなのですが。ううーん。