bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  シャドウ・ゲーム / ジョン・クリード

シャドウ・ゲーム (新潮文庫)

シャドウ・ゲーム (新潮文庫)

英国の秘密情報部を引退したジャックのもとに、友人パオロがやってきた。ニューヨークで麻薬組織のボス、ザバッラに薬漬けにされている娘を救出して欲しいというのだ。ザバッラは麻薬だけでなく数々の悪事に手を染める大物で、多くの有力者にもコネがあるという。単身ニューヨークに飛んだジャックを二人の仲間が出迎えた。一人は元IRAの闘士で今は建設会社を経営している(!)リーアム、もう一人はドラッグディーラーとしてなかなかの成功を収めているプエルトリコ人のジーザス。二人はジャックの頼みを快諾し、一緒に戦ってくれる事になった。
しかし、単純な救出激と思われたこの一件は、予期せぬ事態を次々に巻き起こす。舞台はニューヨークのアート界から廃墟となった地下鉄駅、飛んでメキシコの死者の日の祭りから、ついにはモンテ・アルバンの古代遺跡まで、血と銃弾に彩られた危険な旅へと変貌していく・・・・・・。『シリウス・ファイル』のジャック・ヴァレンタインが復活する痛快冒険小説第二弾。




とても面白かった。と言いたいところなのですが、いかんせん詰め込みすぎでしょう。
次々に舞台が変わりその度にムードが切り替わります。それぞれにいいシーンが在るのですが、それを一回一回帳消しにしてしまうような場面展開が勿体無いです。また後半入ってくるオカルト的な要素は、活かされていないばかりか不要だったと思います。勿体無いと言えば、魅力的な登場人物が出てきては消えていくのも勿体無いですね。あと、このテの小説には付き物ですが、ご都合主義があまりにも目立ちます。都合良く何かを携帯していたり*1奇跡的にタイミングがバッチリだったり*2大怪我をしている人間が火事場の馬鹿力を発揮したり*3。迫力は有るけれど引き込まれるようなリアリティーが無い。そしてその結果がコレかよ〜てな虚しさ漂うラスト。いや、虚しさを感じさせるラストは悪くないんです。それが余韻を残してくれので、読後感はまあまあです。ただ、思い返すとそれまでの道のりに疑問を感じてしまうのです。期待が大きすぎたかなあ。でもでもそれでも次回作に期待します。頼むよクリードさん。


どうでもいいですが、主人公ジャックが、ファッションに詳しくてびっくりです。まあアートディーラーですから、お付き合いも色々あるでしょうし、そのへんが美意識に繋がってるというか・・・・。でも意地悪く勘ぐると、作者の好みというよりも主人公の人物設定上必要になって、調べてくっ付けたって気もするんですけど。作者が本当に、ブランドの見分け付く人なのかどうか知りたいなあ。感じの悪い読者です。うひひひひ。

*1:数々の修羅場を潜り抜けてきた人間の勘です。

*2:数々の修羅場を潜り抜けてきた人間の勘です。

*3:数々の修羅場を潜り抜けてきた人間の本能です。