ビッグ・フィッシュ / ティム・バートン

さすらいの巨人、人を襲う森とその向こうの不思議な町、オリエンタル美女のシャム双生児、サーカス、そして最愛の女性と巨大な魚。父エドワードの語る彼の人生はいつも皆を魅了するおとぎ話だった。それを嫌って疎遠になっていた息子は、死の床にある父を見舞い本当の事を語ってくれと頼む。自身も結婚し子供を持とうとしているのだ。息子に理解されないなんて悲しすぎるから。しかし父が語るのは相変わらずの法螺話。父は息子に理解されないまま死んで行くのか・・・・・・・・・・。

前半、エドワードの法螺話が過ぎるようで、観てるこちらも呆れ気味。少々苛立つ程なのだが段々引き込まれていく。思えばこれは作戦なのか。息子や周りの人々と同じ気持ちで観るようになってくる仕掛けか。んなアホなと思いつつ、もしや監督の術中に落ちてしまっているのかもしれない。結局最後に用意されている真実にちょっと泣かされたりする。よかったね、その父ちゃんで。でも一番エライのは母か。法螺話ばかりの夫を愛し見守り続け、父と息子に最後のチャンスを用意してくれたから。
これは映画館で見て欲しい映画。意外なほど人間ドラマだったから、ビデオになったら、おとぎ話のウェイトが軽くなりすぎて話しに乗り切れないかもしれない。ぎりぎりでおとぎ話と現実のバランスが良い感じだった。つまり私の考えていたティム・バートン映画はもっと徹底したおとぎ話だったということか。いや、すごく楽しめたんだけれど。突っ込みどころ満載なんだけど、すごく楽しめた。最後泣いた。そんな映画でした。