bullet proof soul / side-B

じつは防弾仕様になっておりません

  終わりなき孤独 / ジョージ・P・ペレケーノス  

終わりなき孤独 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
元警官の黒人探偵ストレンジは、ボランティアで少年フットボールの指導をしている。犯罪都市ワシントンDCでにおいて、子供たちを犯罪から引き離して真っ当な道に導く事は大変なことだ。家出少女の保護の以来も舞い込むが、それは最近仲間になったこれまた元警官のクインに廻す。少女の行き着く先ははお決まりの売春。そんな中、ストレンジの指導していた8歳の少年が何者かに射殺されてしまう。事件はDC犯罪社会の深部へ、そしてストレンジの過去へと繋がって行く・・・・・。
前作は人種差別がテーマだったが、今回は子供たちを取り巻く社会のあり方、子供たちを如何に守り育てるかがテーマになっている。貧困の中で手近な一条の光と見えるドラッグや売春。綺麗事で済まない現実を彼等は紡ぎ続ける。信念と共に信頼や友情が語られる様は任侠物にも似ている。それはストレートで熱い。そしてこの国の、この街の現実を思うと痛々しいとすら感じられる。当然作者ペレケーノスの気持ちをストレンジやクインの口から語られるのだが、ちょっと喋りすぎかな。説明的過ぎるか。ややや、スミマセン、これはきっと少数意見だな(苦笑)。それは必要だった。現実を知らない私のために。うん。きっとこの「語り」がペレケーノスの味なんだな。うん。ただ最後はある種の力で片を付けなければならないところがちょっと辛い。やっぱ力か。それが現実か。でもちょっとひっくり返る。別の力。そのバランス。そしてそれは、きっと次作に繋がっているのだ。
これを読んでいて帰りの電車二駅乗り過ごした。そう、それがペレケーノス。
それにしても、この邦題はどうにかなりませんか早川書房さん。